「ちょっと立ち寄り、ちゃんとした健康」をコンセプトとした、手軽で安価な ワンコイン健診を普及させることで、市民一人ひとりが自分の生活習慣を見直し、健康維持・増進に努める健康的な社会づくりに貢献します。 ワンコイン健診をさらに広めるため、今後もさまざまなステークホルダーと連携していきます。
ケアプロのワンコイン健診が生まれるまで
起業準備を進めながら糖尿病内科病棟で務めていたところ、糖尿病患者さんのほとんどが、もっと早く病気が見つかっていれば重症にならずに済んだ方であることに気が付きました。早期発見ができなかった多くの理由が、「健診に行く機会がなかった」「仕事/子育てがあるため健診に行く時間がない」「まさか自分が病気になると思わなかった」というもので、生活習慣病の本質的な問題解決に向けた、手軽な予防医療システムの必要性を強く感じました。また、なぜこれほど健診の未受診者が多いのかを調査したところ、「機会がない」「時間がかかる」「お金がかかる」が健診を受けない理由であることを突き止めました。
「ちょっと立ち寄り、ちゃんとした健康」を実現するワンコイン健診
健診メニューは血糖値、総コレステロール、中性脂肪、肺年齢、骨密度などで、1項目当たり500円で検査することができ、結果はその場で、5分程度でわかります。保険証や予約は不要で、誰でも気軽に安価な値段で受診が可能です。健診の結果に対しケアプロの看護師が生活習慣などをアドバイスすることもありますし、患者が見つかった場合は病院を紹介することもあります。
サービス開始当初は、健診を受けていない個人事業主や専業主婦がメインターゲットになると考えていたのですが、意外に多かったのが、自身の病気が重症化していないかをチェックしたい人や、現在通院している病気以外は問題ないのかを確認したい人でした。
また、定期的な受診と看護師からのフィードバックやアドバイスを受けることを、自分の健康状態を維持するための「ペースメーカー」として活用している方もいらっしゃいます。
さまざまな連携により、広がるワンコイン健診
店舗のほか、ショッピングモール、競輪場、パチンコ店、温浴施設、フィットネスクラブ、ドラッグストア、保険ショップなど、仕事帰りや外出のついでに気軽に立ち寄ることができるさまざまな場所で、出張健診サービスを行っています。
ワンコイン健診をさらに広めるためには、こうした取り組みをケアプロ単独で行うのではなく、さまざまなステークホルダーを巻き込み連携することや、フランチャイズモデルを取り入れることなどが重要だと考えています。
例えば鉄道会社の場合は、駅前のスペースを一定期間借り上げ、健診を行います。ケアプロのサービスは公益性が高いため、駅側も協力してくれることが多いです。
また保険会社と医療保険の販売促進のためのイベントを一緒に行ったり、通院をやめてしまった方が再度病院に足を運ぶための健診イベントを製薬会社と協力して行ったりしています。
行政とも連携を進めています。奈良県とは、全国で初めて「ワンコイン健診イベント」を行いました。また、千葉県の「国保いきいきフェスタin木更津」では、ワンコイン健診の一部を使った無料測定会を実施し、国民健康保険への加入促進や生活習慣病の啓発活動を行いました。
こうした活動を続けた結果、2013年5月にはサービスの累計利用者数が16万人を超えることができました。
ワンコイン健診を広める上での苦労
ケアプロが創業し活動を始めたところ、保健所に営業停止を求められてしまったことがあります。おそらく、医療機関でないケアプロが何か問題を起こした時に責任を負うことを恐れたのだと思います。また、医療機関からクレームを受けたこともありました。
これは、ワンコイン健診が正しく理解されていないことが原因だと考え、医師会や政治家、行政の方に対し「ワンコイン健診は既存の病院の患者を奪うのではなく、新たな患者を見つけるための健診である。患者が見つかったら紹介する」と説明してまわった結果、我々を理解して頂き、協力を得ることができるようになりました。
今後の展開予定
今後は、①ICT化、②海外展開に注力する予定です。
ICT 化に関しては、自身の健康データを見るだけでなく、健康改善につながるレシピや保険の案内、医療機関の情報などとリンクできるようにします。また、ワンコイン健診受診者16万 人のデータベースを活用したSNSを立ち上げ、一緒に健康を目指すコミュニティやランキングを作るなどして、健康増進に繋げたいと考えています。
海外については、イギリス、インド、シンガポール、ケニアといった国へのサービス展開を検討しています。いずれも、現地の生活習慣を把握し現地のネットワークを持つパートナーと連携し、フランチャイズモデルでの展開を考えています。
NCD AllianceJapanへの期待
今後ケアプロのサービスを広げるにあたり、医療機器の開発メーカーやアプリ開発をするシステム会社、政策立案者、国際展開の海外パートナーなど、さまざまなステークホルダーと連携することが必要となります。NCDアライアンス・ジャパンが、そうしたステークホルダーとのマッチングの場になると良いと思います。
また、海外のNCDに関連する情報、特に好事例を紹介してもらいたいです。年に1度、各国のNCD関係者が一同に会するNCD Alliance Global Summitを開催するのはいかがでしょうか。
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