【出版報告】「各都道府県における循環器病対策推進計画の展開と発展に向けて~課題と好事例から考える循環器病対策~」(2023年9月7日)
日本医療政策機構 循環器病対策推進プロジェクトではこの度、政策提言「各都道府県における循環器病対策推進計画の展開と発展に向けて~課題と好事例から考える循環器病対策~」を公表いたしました。
なお、詳細については下記PDFをご覧ください。
■政策提言の背景
日本において脳卒中や心臓病に代表される循環器病は、死亡および要介護に至る主因となっています。また循環器病は加齢とともに患者数が増加するという特徴を有することから、日本を始めとした高齢化が進む先進国における主要な問題といえます。こうした背景を鑑み、各種対策の推進に向けて、2018年12月には「健康寿命の延伸等を図るための脳卒中、心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法」(以下、循環器病対策基本法)が成立、2019年12月に施行されました。本法に基づき、政府は2020年10月に「循環器病対策推進基本計画」を閣議決定しました。これを受けて、各都道府県においても「都道府県循環器病対策推進計画」が策定され、循環器病対策が推進されています。また、2023年4月には循環器病対策基本計画が改定され、現在は「都道府県循環器病対策推進計画」の見直しも迫っているところです。
各都道府県の循環器病対策においては、地域の多様な主体との連携をはじめとした好事例が生まれつつあります。こうした状況の中、各都道府県の循環器病対策担当者からは、都道府県ごとの推進計画の策定手法や、予算獲得、助成金獲得方法などを含め、その実行手段について他自治体の取り組みの参照を希望する声も高まっています。
一方、高齢者人口のピークは地域毎に異なり、各地方の地理的・文化的差異による疾患の有病率も異なることから、循環器病対策においては各地域における問題や必要とされる施策も大きく異なります。そのため、地域の実情にあった計画の策定・実行において、各地域の好事例を参考にしつつ共通点・相違点を明らかにし効果的に各都道府県への還元を図ることが肝要です。
こうした循環器病対策を取り巻く背景を踏まえ、日本医療政策機構では、各都道府県における取組を「各都道府県の実情に応じた計画策定と評価」「「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」を中心とした総合的な支援体制の構築」「循環器病対策の策定・実行過程における患者・当事者参画の推進」の3つの観点からそれぞれの好事例と課題をまとめ、共通するポイントを抽出し、それぞれのポイントについて今後必要な取り組みを整理しました。
循環器病対策推進プロジェクト第2期を通じて見えた各都道府県の好事例と今後の議論が必要なポイント
1:各都道府県の実情に応じた計画策定と評価
- 庁内の人員確保・マネジメント・部局間連携体制の構築
- 庁外のステークホルダーとの連携体制の構築
- 計画策定の技法
2:「脳卒中・心臓病等総合支援センターモデル事業」を中心とした総合的な支援体制の構築
- 総合支援センター事業が担う機能の明確化
- 官学医連携促進
- 継続的な運営体制の構築
- 大病院同士の連携
3:循環器病対策の策定・実行過程における患者・当事者参画の推進
- 循環器病患者・当事者の発掘・参画促進
- 議論の場への円滑な参画に向けた支援・配慮
- 多様な参画・意見収集方法の確保